マルコ6章14~44節

2024年10月27日聖日

「イエスは彼らを深くあわれみ」   

説教者 渡部 和弘師

「14さて、イエスの名が知れ渡ったので、ヘロデ王の耳にも入った。人々は言っていた。「バプテスマのヨハネが死人の中からよみがえったのだ。だから、奇跡を行う力が彼のうちに働いているのだ。」 15ほかの人々は、「彼はエリヤだ」と言い、さらにほかの人々は、「昔の預言者たちの一人のような預言者だ」と言っていた。 16しかし、ヘロデはこれを聞いて言った。「私が首をはねた、あのヨハネがよみがえったのだ。」   17実は、 033以前このヘロデは、自分がめとった、兄弟ピリポの妻ヘロディアのことで、人を遣わしてヨハネを捕らえ、牢につないでいた。 18これは、ヨハネがヘロデに、「あなたが兄弟の妻を自分のものにするのは、律法にかなっていない」と言い続けたからである。 19ヘロディアはヨハネを恨み、彼を殺したいと思いながら、できずにいた。 20それは、ヨハネが正しい聖なる人だと知っていたヘロデが、彼を恐れて保護し、その教えを聞いて 034非常に当惑しながらも、喜んで耳を傾けていたからである。   21ところが、良い機会が訪れた。ヘロデが自分の誕生日に、重臣や千人隊長、ガリラヤのおもだった人たちを招いて、祝宴を設けたときのことであった。 22 035ヘロディアの娘が入って来て踊りを踊り、ヘロデや列席の人々を喜ばせた。そこで王は少女に、「何でも欲しい物を求めなさい。おまえにあげよう」と言った。 23そして、「おまえが願う物なら、私の国の半分でも与えよう」と 036堅く誓った。 24そこで少女は出て行って、母親に言った。「何を願いましょうか。」すると母親は言った。「バプテスマのヨハネの首を。」 25少女はすぐに、王のところに急いで行って願った。「今すぐに、バプテスマのヨハネの首を盆に載せて、いただきとうございます。」 26王は非常に心を痛めたが、自分が誓ったことであり、列席の人たちの手前もあって、少女の願いを退けたくなかった。 27そこで、すぐに護衛兵を遣わして、ヨハネの首を持って来るように命じた。護衛兵は行って、牢の中でヨハネの首をはね、 28その首を盆に載せて持って来て、少女に渡した。少女はそれを母親に渡した。 29このことを聞いたヨハネの弟子たちは、やって来て遺体を引き取り、墓に納めたのであった。   30さて、使徒たちはイエスのもとに集まり、自分たちがしたこと、教えたことを、残らずイエスに報告した。 31するとイエスは彼らに言われた。「さあ、あなたがただけで、寂しいところへ行って、しばらく休みなさい。」出入りする人が多くて、食事をとる時間さえなかったからである。   32そこで彼らは、自分たちだけで舟に乗り、寂しいところに行った。 33ところが、多くの人々が、彼らが出て行くのを見てそれと気づき、どの町からもそこへ徒歩で駆けつけて、彼らよりも先に着いた。 34イエスは舟から上がって、大勢の群衆をご覧になった。彼らが羊飼いのいない羊の群れのようであったので、イエスは彼らを深くあわれみ、多くのことを教え始められた。 35そのうちに、すでに遅い時刻になったので、弟子たちはイエスのところに来て言った。「ここは人里離れたところで、もう遅い時刻になりました。 36皆を解散させてください。そうすれば、周りの里や村に行って、自分たちで食べる物を買うことができるでしょう。」 37すると、イエスは答えられた。「あなたがたが、あの人たちに食べる物をあげなさい。」弟子たちは言った。「私たちが出かけて行って、二百 037デナリのパンを買い、彼らに食べさせるのですか。」 38イエスは彼らに言われた。「パンはいくつありますか。行って見て来なさい。」彼らは確かめて来て言った。「五つです。それに魚が二匹あります。」 39するとイエスは、皆を組に分けて青草の上に座らせるように、弟子たちに命じられた。 40人々は、百人ずつ、あるいは五十人ずつまとまって座った。 41イエスは五つのパンと二匹の魚を取り、天を見上げて神をほめたたえ、パンを裂き、そして人々に配るように弟子たちにお与えになった。また、二匹の魚も皆に分けられた。 42彼らはみな、食べて満腹した。 43そして、パン切れを十二のかごいっぱいに集め、魚の残りも集めた。 44 038パンを食べたのは、男が五千人であった。