神のみ子、救い主生誕

亡き父の句に、「飼桶(まぶね)暗し 聖夜の牛の 咽喉(のど)動き」がある。聖書最大の奇跡の瞬間、交響曲のffが地を震わし、打ち上げ花火が夜空を輝かせたのではなく、救い主の誕生に相応しかったのはいつもどおりの牛の反芻とは。

作:大久保法幸兄